現在地と前後の項目

***矢印で表したベクトル***
/ベクトルの定義/ベクトルの和/ベクトルの差/2点を結ぶベクトル/ベクトルの実数倍/和差実数倍/ベクトルの図形への応用1/ベクトルの図形への応用2
/***位置ベクトル***
/位置ベクトルの定義/位置ベクトルの応用1/位置ベクトルの応用2/位置ベクトルの応用3/位置ベクトルの応用4/直線のベクトル方程式1/ベクトル方程式(交点)/2直線の交点(3通り)/外心,重心,垂心,オイラー線/ゆがんだ網の目/ゆがんだ網の目2/内分点の内分点/内分点の内分点2/点の存在範囲/点の存在範囲2
/**成分ベクトル**
/ベクトルの成分(図→成分)/ベクトルの成分(成分→図)/ベクトル成分の計算/ベクトルの大きさ/ベクトルの平行条件,垂直条件/3点が一直線上にある条件/
== ベクトルの定義,大きさ,向き ==

○小中学校以来学んできたものの量は,単位が決まっていれば,大きさを表す数字を1つで表すことができました.
【例1】 身長 172.5(cm)
【例2】 体重 61.3(kg)
【例3】 面積 80(m2)

○これに対して,「力」「移動」「速度」のような量は,「大きさ」だけでなく「向き」も持った量で表されます.このように「大きさ」と「向き」を持つ量はベクトルと呼ばれ,1つの数字だけでは表せないので矢印を使って表されます.
【例1】 はベクトルで表されます
台の上のボールがどちらに落ちるかは,力の「大きさ」だけでなく,力の「向き」によって変わる.

【例2】 移動はベクトルで表されます
荷物が届けられる家は,移動の「大きさ」(=距離)だけでなく,移動の「向き」によって変わる.

【例3】 速度はベクトルで表されます
日本海沿岸では,風の速度の「大きさ」(=速さ)だけでなく,風の「向き」によって海の状態が変わる.
南風なら海は静かだが,北風なら海が荒れる.

○ベクトルは「大きさ」と「向き」をもった量で,1つの数字だけでは表せないので,矢印を使って図形的に表します.
 ベクトルの名前の付け方として,始点Aから終点Bに向かうベクトルは,
AB
で表します.
Bが左にあっても,BAのような書き方はしません.
 ベクトルを1つの名前で表すときは,
a,p
などで表します.

○「矢印の向き」がベクトルの向きを表しており,「矢印の長さ」がベクトルの大きさを表しています.
 右図のベクトルについては,
abは向きが等しくて大きさは異なります.
acは大きさが等しくて向きは異なります.

→右上に続く
【例】
(1) 右図の平行四辺形ABCDにおいて,AD=BCかつAD//BC
です.すなわち,ADBCは同じ「向き」で「長さ」が同じです.したがって
AD=BC
が成り立ちます.
同様にして
AB=DC
も成り立ちます.
しかし,ADCBは「長さ」が同じですが「向きが逆」なので
ADCB

(2) 右図の等脚台形EFGHにおいて,
 2.1) EHFGは,「向き」が同じですが「長さが違う」ので
EHFG
 2.2) EFHGは,「長さ」が同じですが「向きが違う」ので
EFHG
【要点】
○2つのベクトルADBCは,「大きさ」と「向き」の両方とも等しいとき,ベクトルとして等しいといい
AD=BC
と書く.
○2つのベクトルは,「大きさ」と「向き」さえ等しければ「等しい」といい,”どこに描いてあるか”は問題にしない.
例えば,上の図においてADの始点はAで,BCの始点はBであり,明らかに違う場所に書いてあるが,これら2つのベクトルは等しいといい,同じものとして扱う.
※(本気の雑談)
「向き」とよく似た用語に「方向」という用語があります.これらの用語の日常用語としての類似点・相違点については,ここでは述べませんが,高校数学で普通に使われる用語としての「向き」と「方向」の違いについて
ほぼ,次のように使い分けます.

平行だったら「同じ方向」という.
さらに,「あっち向き」「こっち向き」まで一致しているとき「同じ向き」という.
したがって,「同じ向き」なら「同じ方向」になるが,「同じ方向」でも「同じ向き」と「逆向き」の区別がある.

【問題1】 (選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
右の正六角形ABCDEFの中心をOとするとき,ベクトルABと等しいベクトルを次の中から選んでください.
(2)
右の正六角形ABCDEFの中心をOとするとき,ベクトルAFと等しいベクトルを次の中から選んでください.
(3)
右の正六角形ABCDEFの中心をOとするとき,ベクトルAEと等しいベクトルを次の中から選んでください.

【問題2】 (選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
右図においてベクトルaと等しいベクトルを次の中から選んでください.
(2)
右図においてベクトルaと向きが等しく,大きさが異なるベクトルを次の中から選んでください.
(3)
右図において点Pを始点として,ベクトルaに等しいベクトルを描くと,終点は次のどの点になりますか.
Q R S T

ベクトルの大きさ(長さ)は絶対値記号を付けて表します.
例えば,ベクトルaの大きさ(長さ)はaで表され,ベクトルの大きさ(長さ)はABで表されます.
【例】
(1) 右図において,PQ∣=2です.
PQ=2ではないことに注意.ベクトルそのものは,1つの数字では表せません.今ここで表しているのは,ベクトルのうちの「大きさ」だけを取り出したものです.
中学校以来2点P,Q間の距離は,記号PQで表してきましたが,「2点を結ぶベクトルの大きさ」は「2点間の距離」と全く同じものになります.
PQ∣=PQ
(2) 上の図において,b∣=2です.
中学校で習った三平方の定理,または2点間の距離の公式を使うと,横の長さが1で縦の長さが1である直角三角形の斜辺の長さは,12+12=2になります.だからb∣=2です.

※ベクトルの「向き」表す記号はないのか?
- - -高校では,後に習う複素数zの向き(偏角)を表す記号arg(z)はありますが,「ベクトルの向き」を表す特別な記号は使いません.何年やっていても特に不便は感じません.
 右図のように,ベクトルaの大きさ(長さ)が3であるとき,後で習う「ベクトルの定数倍」という操作で,3で割るとaと同じ向きで大きさ1のベクトルを作ることができます.これを利用することが考えられる程度です.(すぐ後で習う)
aa
によって,その向きの大きさ1のベクトルが表せる.
【問題3】 (選択肢の中から正しいものを1つクリック)
(1)
右図においてベクトルaの大きさaを求めてください.
1 2 3 4
(2)
右図においてbを求めてください.
1 2 3 4
(3)
右図においてcを求めてください.
2 3 5 6

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