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== 2次曲線(復習と入試問題) ==

難易度の目安
基 本:★☆☆
普 通:★★☆
やや難:★★★

【Ⅰ.1.(1) 楕円の方程式】
 2定点F(c, 0), F’(−c, 0)からの距離の和が一定2aである点P(x, y)の軌跡は楕円になる.
(ただし,a>c>0とし,a2=b2+c2とおく)
a, b, cの図形的な対応は,動点Py軸上の点Bに重なるときを考えると,分かり易い.(下図)
• 直角三角形OFBについて,三平方の定理を考えるとよい.
• 楕円の方程式は
x2a2+y2b2=1・・・(1)
• 焦点の座標は
F(c,0),F(c,0)
• 長軸の長さは,AA’=2a
(一般に,a>b>0のとき,AA’が長軸になる.右図はこれに該当する.)
• 短軸の長さは,BB’=2b
(一般に,a>b>0のとき,BB’が短軸になる.右図はこれに該当する.)
• 一定となる距離の和は,FP+PF’=2a
【Ⅰ.1.(2) 楕円の方程式】
 2定点F(0, c), F’(0, −c)からの距離の和が一定2bである点P(x, y)の軌跡は楕円になる.
(ただし,b>c>0とし,a=b2c2とおくと,
• 楕円の方程式は
x2a2+y2b2=1・・・(2)
• 焦点の座標は
F(0,c),F(0,c)
• 長軸の長さは,BB’=2b
(一般に,b>a>0のとき,BB’が長軸になる.右図はこれに該当する.)
• 短軸の長さは,AA’=2a
(一般に,b>a>0のとき,AA’が短軸になる.右図はこれに該当する.)
• 一定となる距離の和は,FP+PF’=2b
証明は(1)のときと同様に行えばよい

[楕円の方程式(1)の証明]
 動点をP(x, y)とおいて,2点F(c, 0), F’(−c, 0)との距離の和を求めると
FP+FP=2a
(xc)2+y2+(x+c)2+y2=2a
 このまま両辺を2乗しても「一応計算できる」が「途中経過が4次式のコテコテの計算になる」から,そっちに進むのは避ける方がよい.
 次のように根号を両辺に分けてから2乗すると,少しは簡単になる.
(x+c)2+y2=2a(xc)2+y2
辺々2乗する
(x+c)2+y2=4a24a(xc)2+y2
+(xc)2+y2
4cx=4a24a(xc)2+y2
4a(xc)2+y2=4a24cx
a(xc)2+y2=a2cx
辺々2乗する
a2{(xc)2+y2}=a42a2cx+c2x2
a2x22a2cx+a2c2+a2y2=a42a2cx+c2x2
a2x2+a2c2+a2y2=a4+c2x2
(a2c2)x2+a2y2=a2(a2c2)
x2a2+y2a2c2=1
ここで,a2c2=b2とおくと,
x2a2+y2b2=1・・・■証明終■
 以上の証明の途中経過を覚える必要はない.後の参考としては「根号を両辺に分けてから2乗する」という変形の勘を身に着けておく程度とする.
【例題1】★☆☆
 楕円x29+y24=1について, (1) 焦点の座標,(2) 長軸の長さ,(3) 短軸の長さを求めて,(4) グラフの概形を描いてください.
(高校教科書のレベル)
a=3, b=2 (a>b>0)だから
c=a2b2=5
(1) 焦点の座標は,F(5,0),F(5,0)
(2) 長軸の長さは,(2a=)6
--危険なワナ--
(a=)3は長軸の長さではない.aは,ほぼ≃半径
(3) 短軸の長さは,(2b=)4
--危険なワナ--
→ 上記と同様.
(4) グラフの概形は右図
(「がいけい」とは,だいたいの形のこと.手書きだから,完全に正確なグラフは無理.大体の形で,要点を押さえていればよい)
【例題2】★☆☆
 楕円4x2+y2=4について, (1) 焦点の座標,(2) 長軸の長さ,(3) 短軸の長さを求めて,(4) グラフの概形を描いてください.
(高校教科書のレベル)
x2+y24=1
と変形する.
a=1, b=2 (b>a>0)だから
c=b2a2=3
(1) 焦点の座標は,F(0,3),F(0,3)
(2) 長軸の長さは,(2b=)4
(3) 短軸の長さは,(2a=)2
(4) グラフの概形は右図

【例題3】★☆☆
 次の楕円について,(A) 焦点の座標, (B) 長軸の長さ, (C) 短軸の長さを求めて,(D) グラフの概形を描いてください.
(1) x24+y29=1
(2) 4x2+3y2=12
(高校教科書のレベル)
(1)
a=2,b=3,c=b2a2=5だから
(A) 焦点の座標はF(0,5),F(0,5)
(B) 長軸の長さは(2b=)6
(C) 短軸の長さは(2a=)4
(D) 概形は,右図の通り
(2)
x23+y24=1
と変形できる
a=3,b=2,(b>a>0),c=b2a2=1だから
(A) 焦点の座標はF(0,1),F(0,1)
(B) 長軸の長さは(2b=)4
(C) 短軸の長さは(2a=)23
(D) 概形は,右図の通り
【問題1】★☆☆
 xy平面上の2点F(1, 0), F’(−1, 0)からの距離の和がつねに4であるような点の軌跡はだ円となる.このだ円の長軸と短軸の長さを求めよ. 
(2000年度北海道工大)
[解説を読む]

【Ⅰ.2.(1)双曲線の方程式】
 2定点F(c, 0), F’(−c, 0)からの距離の差が一定±2aである点P(x, y)の軌跡は双曲線になる.
(ただし,c>a>0とし,b=c2a2とおく場合)
 双曲線x2a2y2b2=1(a>0,b>0)・・・(1)になる
• 焦点の座標はF(c,0),F(c,0)
• 主軸はx軸(右図の通り)
• 漸近線の方程式はy=±bax
• 頂点の座標は
A(a, 0), A’(−a, 0)
• 双曲線の中心は原点O(0, 0)
【Ⅰ.2.(2) 双曲線の方程式】
 2定点F(0, c), F’(0, −c)からの距離の差が一定±2bである点P(x, y)の軌跡は双曲線になる.
(ただし,c>b>0とし,a=c2b2とおく場合)
 双曲線x2a2y2b2=1(a>0,b>0)・・・(2)になる
• 焦点の座標はF(0,c),F(0,c)
• 主軸はy軸(右図の通り)
• 漸近線の方程式はy=±bax
• 頂点の座標は
B(0, b), B’(0, −b)
• 双曲線の中心は原点O(0, 0)

[双曲線の方程式(1)の証明]
 動点をP(x, y)とおいて,2点F(c, 0), F’(−c, 0)との距離の差を求める.(ただし,c>a>0
FPFP=±2a
(xc)2+y2(x+c)2+y2=±2a
 このまま両辺を2乗しても「一応計算できる」が「途中経過が4次式のコテコテの計算になる」から,そっちに進むのは避ける方がよい.
 次のように根号を両辺に分けてから2乗すると,少しは簡単になる.
(xc)2+y2=±2a(x+c)2+y2
辺々2乗する
(xc)2+y2=4a2±4a(x+c)2+y2
+(x+c)2+y2
4cx=4a2±4a(x+c)2+y2
4a(x+c)2+y2=4a2+4cx
±a(x+c)2+y2=a2+cx
辺々2乗する
a2{(x+c)2+y2}=a4+2a2cx+c2x2
a2x2+2a2cx+a2c2+a2y2=a4+2a2cx+c2x2
a2x2+a2c2+a2y2=a4+c2x2
(c2a2)x2a2y2=a2(c2a2)
ここで,c>a>0に注意する
x2a2y2c2a2=1
ここで,c2a2=bとおくと,
x2a2y2b2=1・・・■証明終■
【例題4】★☆☆
 次の双曲線について,(A) 焦点の座標, (B) 頂点の座標, (C) 漸近線の方程式を求めて,(D) グラフの概形を描いてください.
(1) x29y24=1
(2) x2y2=1
(高校教科書のレベル)
(1)
a=3,b=2,c=a2+b2=13だから
(A) 焦点の座標はF(13,0),F(13,0)
(B) 頂点の座標はA(3,0),A(3,0)
(C) 漸近線の方程式はy=±23x
(D) 概形は,右図の通り
(2)
a=1,b=1,c=a2+b2=2だから
(A) 焦点の座標はF(0,2),F(0,2)
(B) 頂点の座標はB(0,1),B(0,1)
(C) 漸近線の方程式はy=±x
(D) 概形は,右図の通り

【例題5】★☆☆
 双曲線x216y29=1について, (1) 焦点の座標,(2) 頂点の座標, (3) 漸近線の方程式を求めて,(4) グラフの概形を描いてください.
(高校教科書のレベル)
a=4, b=3だから
c=a2+b2=5
(1) 焦点の座標は,F(5,0),F(5,0)
(2) 頂点の座標は,A(4, 0), A’(−4, 0))
(3) 漸近線の方程式は,y=±34x
(3) グラフの概形は右図
【問題2】★☆☆
 双曲線x235y212=1の焦点の座標は (⑤⑥⑦,0) である.
(2011年度日本大 理工学部)
[解説を読む]

【問題3】★★★
 2定点F(a, a), F’(−a, −a)を焦点とし,F, F’からの距離の差が2aである双曲線Cを考える.ただし,a>0とする.
(1) 双曲線Cの方程式を求めよ.
(2) 双曲線Cの頂点の座標および漸近線の方程式を求めよ.
(2000年度鹿児島大)
[解説を読む]
(別解)・・・問題文にも結果が双曲線になると書かれているので,これを利用した答案
 x軸上のF1(2a,0),F1(2a,0)を焦点とし,A1(a,0),A1(a,0)を頂点とする(直角)双曲線を考えると,
b=2a2a2=a
双曲線の方程式は
x2a2y2a2=1
x2y2=a2
漸近線の方程式は
y=±bax=±x
上記の焦点,頂点,漸近線,双曲線を原点の周りに45°反時計回りに回転させる.次の変換により新座標(X, Y)が求まる.
X=x2y2
Y=x2+y2
x=X2+Y2
y=X2Y2

•焦点の座標は
F1(2a,0),F1(2a,0)F(a,a),F(a,a)
•頂点の座標は
A1(a,0),A1(a,0)A(a2,a2),A(a2,a2)
・・・(2)の答
•漸近線の方程式は
y=±xy=0,x=0・・・(2)の答
•双曲線の方程式は
x2y2=a2
(X2+Y2)2(X2Y2)2=a2
2XY=a2
変数をx, yで書くと
xy=a22・・・(1)の答

【Ⅰ.3.(1) 放物線の方程式】
• 焦点F(p, 0)と準線x=−p (p≠0)からの距離が等しい点
P(x, y)の軌跡は放物線
y2=4pxになる
p≠0のとき,放物線y2=4pxについて
(1) 頂点は,原点O(0, 0)
(2) 焦点の座標は,F(p, 0)
(3) 準線の方程式は,x=−p
放物線の対称軸のことを,単に軸という.
(4) 軸の方程式は,y=0
【Ⅰ.3.(2) 放物線の方程式】
• 焦点F(0, p)と準線y=−p (p≠0)からの距離が等しい点
P(x, y)の軌跡は放物線
x2=4pyになる
p≠0のとき,放物線x2=4pyについて
(1) 頂点は,原点O(0, 0)
(2) 焦点の座標は,F(0, p)
(3) 準線の方程式は,y=−p
(4) 軸の方程式は,x=0
この方程式は,.においてxyの役割を入れ替えたものとなっている.

(放物線の方程式 .の証明)
 初めに,準線上の点Hと動点P(x, y)および焦点F(p, 0)が一直線上に並ぶとき,HP=PFとなる.すなわち,動点P(x, y)は原点O(0, 0)を通ることに注意.
 このように定めると放物線の頂点が原点を通ることになり,方程式が簡単になる.
 応用問題としては,頂点が原点以外に来る場合も扱うが,準線の方程式x=−pと焦点の座標F(p, 0)とで,符号だけ異なる数値p, −pを使うのは,このように頂点を原点に一致させるねらいがあるからと考えればよい.
 動点の座標をP(x, y),動点から準線x=−pに下ろした垂線の足を(−p, y),焦点の座標をF(p, 0)とおくと
HP=PF
|x+p|=(xp)2+y2
辺々2乗する
x2+2px+p2=x22px+p2+y2
y2=4px
【例題6】★☆☆
  次の放物線について,(A) 焦点の座標, (B) 頂点の座標, (C) 準線の方程式を求めて,(D) グラフの概形を描いてください.
(1) y2=12x
(2) x2=4y
(高校教科書のレベル)
(1)
y2=4×3×x
(A) 焦点の座標はF(3,0)
(B) 頂点の座標はO(0,0)
(3) 準線の方程式はx=3
(D) 概形は右図の通り
(2)
x2=4×(1)×y
(A) 焦点の座標はF(0,1)
(B) 頂点の座標はO(0,0)
(3) 準線の方程式はy=1
(D) 概形は右図の通り

【Ⅱ. 曲線の平行移動】
 一般に,曲線 f(x, y)=0x軸の正の向きにp,y軸の正の向きにqだけ平行移動して得られる曲線の方程式は
f(x−p, y−q)=0
 x軸の正の向きにα,y軸の正の向きにβだけ平行移動するとき
(1) 楕円
x2a2+y2b2=1(xα)2a2+(yβ)2b2=1
(2) 双曲線
x2a2y2b2=1(xα)2a2(yβ)2b2=1
(3) 放物線
y2=4px(yβ)2=4p(xα)
【例題7】★☆☆
(1) 楕円x24+y29=1を,x軸の正の向きに4,y軸の正の向きに5だけ平行移動してできる楕円の方程式を求めてください.
(2) 4x2+y2+8x4y+4=0はどのような図形を表すか.図示してください.
(高校教科書のレベル)
(1)
(x4)24+(y5)29=1
(2)
4(x2+2x)+(y24y)=4
4{(x+1)21}+(y2)24=4
4(x+1)2+(y2)2=4
(x+1)2+(y2)24=1
は楕円x2+y24=1x軸の正の向きに−1,y軸の正の向きに2だけ平行移動したもの.(右図)

【問題4】★★☆
 座標平面上の点(x, y)が曲線4x2+9y224x=0の上を動くとき,x2+y26xの最小値はである.
(2016年度産業医科大)
[解説を読む]
【例題8】★☆☆
(1) 双曲線x29y24=1を,x軸の正の向きに2,y軸の正の向きに1だけ平行移動してできる双曲線の方程式を求めてください.
(2) 9x24y218x16y43=0はどのような図形を表すか.図示してください.
(高校教科書のレベル)
(1)
(x2)29(y1)24=1
(2)
9(x22x)4(y2+4y)=43
9{(x1)21}4{(y+2)24}=43
9(x1)294(y+2)2+16=43
9(x1)24(y+2)2=36
(x1)24(y+2)29=1
双曲線x24y29=1x軸の正の向きに1,y軸の正の向きに−2だけ平行移動したもの.(右図)
【問題5】★★☆
 方程式2x2y2+8x+2y+11=0が表す曲線は,頂点が(, )と(, ),焦点が(, )と(, )の双曲線で,その漸近線の方程式はy=およびy=である.
(2011年度慶應義塾大 医学部)
[解説を読む]
【例題9】★☆☆
(1) 放物線y2=8xを,x軸の正の向きに3,y軸の正の向きに1だけ平行移動してできる放物線の方程式を求めてください.
(2) x24x+4y8=0はどのような図形を表すか.図示してください.
(高校教科書のレベル)
(1)
(y1)2=8(x3)
(2)
x24x=4y+8
(x2)24=4y+8
(x2)2=4y+12=4(y3)
放物線x2=4yx軸の正の向きに2,y軸の正の向きに3だけ平行移動したもの.(右図)

■因数分解型の不等式が表す図形■
 2文字の因数分解型の不等式が表す図形は,市松模様(チェック模様)とも呼ばれ,東京2020のエンブレムや『鬼滅の刃』炭治郎の上着にも用いられている.歌舞伎役者 佐野川市松が好んで用い,後に市松模様などと呼ばれるようになった.
• 市松模様では,境界線で隣り合う領域は白黒が反対になり,対角線側とは一致する.
• 因数分解型の不等式は,連立不等式の応用問題と考えることができ,例えば,
{(x1)2+y24}{(x+1)2+y24}<0
という因数分解型の不等式は
(x1)2+y24<0
(x+1)2+y24>0
または
(x1)2+y24<0
(x+1)2+y24>0
 右図の茶色で塗った箇所に対応する.
• このような市松模様を作るには,(x1)2+y2=4(x+1)2+y2=4を「=0となる形にして掛けたもの」すなわち「因数分解型」にすることが重要で,
{(x1)2+y2}{(x+1)2+y2}<16
のような形では,できない.
• 「市松に塗り分ける」「柄模様が市松になっている」などと形容動詞的に使うこともあるようです.
【問題6】★★☆
 次の不等式が表す領域を座標平面上に図示しなさい.
(4x2+9y236)(4x227y)>0
(2016年度龍谷大 理工学部)
[解説を読む]

【基本の復習】
•不等式x2+y2>r2が表す領域は,円x2+y2=r2の外側(境界線を含まない)
•不等式x2+y2<r2が表す領域は,円x2+y2=r2の内側(境界線を含まない)
•不等式x2a2+y2b2>1が表す領域は,楕円x2a2+y2b2=1の外側(境界線を含まない)
•不等式x2a2+y2b2<1が表す領域は,楕円x2a2+y2b2=1の内側(境界線を含まない)
【問題7】★★☆
 xy平面において,不等式
(x23+y21)(x2+y231)0
が表す領域の面積を求めよ.
(2014年度横浜国立大 理工学部)
[解説を読む]

【Ⅲ.1 接線の公式】

2次曲線の
方程式
接点(x1,y1)における
接線の方程式

楕円x2a2+y2b2=1x1xa2+y1yb2=1
双曲線 x2a2y2b2=1 x1xa2y1yb2=1
x2a2y2b2=1 x1xa2y1yb2=1
放物線y2=4px y1y=2p(x+x1)
x2=4py x1x=2p(y+y1)
• 曲線の方程式で「変数の2乗」になっている所は「1枚を接点の座標に入れ換えた掛け算」にすると接線の方程式になる.
x2x1x
y2y1y
• 放物線の方程式で,「変数+変数」と読める所は「1枚を接点の座標に入れ換えた足し算」にすると接線の方程式になる.
2xx+x1
4px=2p(x+x)2p(x+x1)
※ 勢い余って,「1つの変数を2枚とも」貼りかえてしまうと,接点が曲線上にあるという事実を表すだけになるので要注意.
(接線の公式:証明)
 楕円,双曲線,放物線上の接点(x1,y1)における接線の方程式は,高校の教科書では発展学習になっている場合があるが,大学入試問題として出題されてもやむを得ないと考えられる.
(A) 内容的には,数学Ⅲの「陰関数の微分法」を用いると統一的に示せる.
(A)
 楕円x2a2+y2b2=1・・・①上の接点(x1,y1)における接線の方程式を求める.
 ①の両辺を陰関数の微分法によって微分する
2xa2+2yb2y=0
y=b2xa2y
 したがって,接点(x1,y1)における微分係数(接線の傾き)は
b2x1a2y1
(なお,y1=0すなわち,接点の座標が(±a,0)の場合は,別途,x軸に垂直な直線の方程式として求めるとよい:x=±a
 接線の方程式は
yy1=b2x1a2y1(xx1)
a2y1ya2y12=b2x1x+b2x12
b2x1x+a2y1y=b2x12+a2y12
x1xa2+y1yb2=x12a2+y12b2=1・・・■証明終■

 双曲線x2a2y2b2=1・・・②上の接点(x1,y1)における接線の方程式を求める.
 ②の両辺を陰関数の微分法によって微分する
2xa22yb2y=0
y=b2xa2y
 したがって,接点(x1,y1)における微分係数(接線の傾き)は
b2x1a2y1
(なお,y1=0すなわち,接点の座標が(±a,0)の場合は,別途,x軸に垂直な直線の方程式として求めるとよい:x=±a
 接線の方程式は
yy1=b2x1a2y1(xx1)
a2y1ya2y12=b2x1xb2x12
b2x1xa2y1y=b2x12a2y12
x1xa2y1yb2=x12a2y12b2=1・・・■証明終■
 双曲線x2a2y2b2=1の場合も同様に示される.
 放物線y2=4px・・・③上の接点(x1,y1)における接線の方程式を求める.
 ③の両辺を陰関数の微分法によって微分する
2yy=4p
y=2py
 したがって,接点(x1,y1)における微分係数(接線の傾き)は
2py1
(なお,y1=0すなわち,接点の座標が(±a,0)の場合は,別途,x軸に垂直な直線の方程式として求めるとよい:x=±a
 接線の方程式は
yy1=2py1(xx1)
y1yy12=2px2px1
y1y4px1=2px2px1
y1y=2px+2px1=2p(x+x1)・・・■証明終■

【例題10】★☆☆
(1) 楕円x2+y24=1の周上の点P(32,1)における接線の方程式を求めてください.
(2) 双曲線x24y29=1上の点Q(4,33)における接線の方程式を求めてください.
(3) 放物線y2=16x上の点R(1,4)における接線の方程式を求めてください.
(高校教科書のレベル)
(1)
3x2+y4=1
23x+y=4・・・(答)
(2)
4x433y9=1
xy3=1
3xy=3・・・(答)
(3)
4y=8(1+x)
y=2x+2・・・(答)
【問題8】★☆☆
 楕円x23+y2=1上の点(1,63)における接線の方程式を求めよ.
(2011年度長崎大 工学部)
[解説を読む]
【問題9】★☆☆
 楕円x24+y29=1上の点(3,32)における接線の傾きをkとする.4k23の値を求めよ.
(ア) 0 (カ) 1 (サ) 2 (タ) 3 (ナ) 4 (ハ) 5 (マ) 6 
(ヤ) 7 (ラ) 8 (ワ) 9 
(2014年度自治医科大)
[解説を読む]

【Ⅲ.2 接線の公式】

2次曲線の
方程式
接点(x1,y1)における接線の方程式

楕円(xα)2a2+(yβ)2b2=1
(x1α)(xα)a2+(y1β)(yβ)b2=1
双曲線(xα)2a2(yβ)2b2=1
(x1α)(xα)a2(y1β)(yβ)b2=1
x2a2y2b2=1
(x1α)(xα)a2(y1β)(yβ)b2=1
放物線(yβ)2=4p(xα)
(y1β)(yβ)=2p{(xα)+(x1α)}
(xα)2=4p(yβ)
(x1α)(xα)=2p{(yβ)+(y1β)}
(証明)
• 楕円
(xα)2a2+(yβ)2b2=1
上の接点をP(x1,y1)とする.接点を付けたまま楕円をx軸の正の向きに−α,y軸の正の向きに−βだけ平行移動すると,原点を中心とする楕円
x2a2+y2b2=1
と,楕円上の接点P(x1α,y1β)が得られる.
P(x1α,y1β)における接線の方程式は
(x1α)xa2+(y1β)yb2=1
このグラフを,x軸の正の向きにα,y軸の正の向きにβだけ平行移動すると,接点P(x1,y1)における接線の方程式が得られる.
(x1α)(xα)a2+(y1β)(yα)b2=1・・・■証明終■
• 双曲線,放物線の場合も,同様にして示せる.

【例題11】★☆☆
(1) 楕円(x1)218+(y3)28=1の周上の点P(4,5)における接線の方程式を求めてください.
(2) 双曲線(x1)23(y+2)24=1上の点Q(4,222)における接線の方程式を求めてください.
(3) 放物線(y+1)2=8(x3)上の点R(5,3)における接線の方程式を求めてください.
(高校教科書のレベル)
(1)
(41)(x1)18+(53)(y3)8=1
3(x1)18+2(y3)8=1
x16+y34=1
2(x1)+3(y3)=12
2x+3y23=0・・・(答)
(2)
(41)(x1)3(222+2)(y+2)4=1
3(x1)322(y+2)4=1
x1y+22=1
2(x1)(y+2)=2
2xy222=0・・・(答)
(3)
(3+1)(y+1)=4{(53)+(x3)}
4(y+1)=4(x1)
y+1=x1
y=x2・・・(答)
【極線の方程式Ⅳ】

(1) 点(x1,y1)が楕円x2a2+y2b2=1の「曲線上の点」ならば
x1xa2+y1yb2=1
は,点(x1,y1)における「接線」の方程式を表す.(双曲線,放物線の場合も同様)
※しかし,点P(x1,y1)が楕円x2a2+y2b2=1の「曲線上の点」でなければ,x1xa2+y1yb2=1は,点P(x1,y1)を通る「接線」 を表さず,点(x1,y1)を極とする「極線の方程式」と呼ばれるものになる.(右図の直線QR
• 公式:x1xa2+y1yb2=1が,点(x1,y1)における「接線」を表すのは,点(x1,y1)が楕円x2a2+y2b2=1の「曲線上の点」である場合に限ることを,教科書程度の基本として確認してください.
• 次に,点(x1,y1)が「(2) 曲線外の点である場合」「(3) 曲線内の点である場合」の「極」および「極線の方程式」という話は,高校数学としては発展学習になるので,余裕があれば読んでください・・・大学入試問題として出題されることはある.

(2) 点(x1,y1)が楕円x2a2+y2b2=1の「曲線外の点」である場合, x1xa2+y1yb2=1は,
Pを通る2つの接線の接点QRを結ぶ直線QRになる.
 このとき,直線QRは,点Pを極とする極線と呼ばれる.
(証明)
2つの接点をQ(r, s), R(v, w)とおくと,接線の方程式は,各々
rxa2+syb2=1・・・①
vxa2+wyb2=1・・・②
これら2つの接線は,点(x1,y1)を通るから,次の2つの関係式が成り立つ.
rx1a2+sy1b2=1・・・①’
vx1a2+wy1b2=1・・・②’
ここで,(なぜ思いつくのかは別として)
xx1a2+yy1b2=1・・・③
という(直線の)方程式を考えてみると,①’,②’は,③にQ(r, s), R(v, w)の座標を代入したら,成り立つということを表している.
 したがって,③はQ(r, s), R(v, w)を結ぶ直線になる・・・■証明終■
【例題12】★★☆
(1) 楕円x218+y28=1の曲線上の点P(3,2)における接線の方程式を求めて,その概形を描いてください.
(2) 楕円x218+y28=1の曲線外の点P(3,4)の極線の方程式を求めて,その概形を描いてください.
(1)
3x18+2y8=1
x6+y4=1
(2)
3x18+4y8=1
x6+y2=1
※一般に,x切片がay切片がb(ただし,a, b≠0)である直線の方程式は
xa+yb=1

(3) 点P(x1,y1)が楕円x2a2+y2b2=1の「曲線内の点」である場合, x1xa2+y1yb2=1・・・①を考えると,
 点Pを通る直線と曲線との交点Q, Rを接点とする2つの接線の交点をUとする.
 同様にして,点Pを通る別の直線と曲線との交点S, Tを接点とする2つの接線の交点をVとする.(異なる2つ以上の直線であれば,何本引いてもよいが,最小限2本引けばよい)
 ①は,これら2つの点U, Vを結ぶ直線UVになる.
 このとき,直線①は,点Pを極とする極線と呼ばれる.
(証明)
前述の(2)と同様に考えるが,途中経過はかなり長くなる.
 Q(r, s), R(v, w)を接点とする2つの接線の交点がU(g, h)だから
rxa2+syb2=1・・・②
vxa2+wyb2=1・・・③
U(g, h)は②も③も満たすから
rga2+shb2=1・・・②’
vga2+whb2=1・・・③’
②’, ③’は,直線
xga2+yhb2=1・・・④
上に2点Q(r, s), R(v, w)があることを示している.P(x1,y1)も同様にその直線上にあるから,次の関係式が成り立つ
x1ga2+y1hb2=1・・・⑤
 S(c, d), T(e, f)を接点とする2つの接線の交点がV(j, k)だから,同様にして,次の関係式が成り立つ
x1ja2+y1kb2=1・・・⑥
⑤⑥は,2点U(g, h), V(j, k)が直線
x1xa2+y1yb2=1・・・⑦
上にあることを示している.・・・■証明終■
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