◇解説◇ 元の形では積分計算が困難に見える問題でも,形を変えると積分計算の分かる問題に書き直せることがあります。 ここで紹介する部分積分法は,積の微分法から導かれます. 積の微分法: 移項すると,部分積分法の公式が得られます。
fg’dx= fg−f’g dx
※以下の解説においては,「上げる」「下げる」という筆者独特の言い回しがあります.「上げる」とは積分する,「下げる」とは微分するという意味(多項式で言えば,各々次数が上がる,下がるから)です.
【例1】
x sin x dx
※ x と 三角関数,指数関数などの積 → x を f側 (次に微分する側)に選ぶと消える
( )は左辺の初めの形下げる:(f) = x → f' = 1 g =−cos x ← (g') = sin x:上げる x sin x dx =−x cos x + cos x dx =−x cos x + sin x + C |
例2
x logx dx
※ log x → 微分する側(現在 f の側)に選ぶとうまくいくことが多い。
(例外:log x は相手が多項式であっても,微分する側とする。) ( )は左辺の初めの形 下げる:(f) = log x → f' = g = ← (g') = x:上げる x logx dx = log x− dx = log x− dx = log x− + C |
例3
ex sin x dx I = ex sin x dx とおく
※求める不定積分を I とおいて,方程式のように解く。
→同じものが出てくるまで変形する. ( )は左辺の初めの形 下げる:(f) = sin x → f' = cos x g = ex ← (g') = ex:上げる I = ex sin x dx = ex sin x−ex cos x dx ( )は左辺の初めの形 下げる:(p) = cos x → p' =−sin x q = ex ← (q') = ex:上げる I = ex sin x−ex cos x dx = ex sin x−(ex cos x + ex sin x dx) I = ex sin x−ex cos x−I…(*) となるから,
(*)の式では積分定数Cが見えていなくても,一般に不定積分には積分定数を付けなければならないから,最後に付ける.
I=
+C
|
■ 問題 次の空欄を埋めなさい。
空欄にはスペースを使わずに半角の「アルファベット小文字または数字」だけを使用するものとします.
(1)
xe−3xdx |
(2)
x2 cos x dx |
(3)
log x dx |
(4)
・・[別解]・・
dx |
(5)
(log x)2dx |
(6)
eax cos bx dx (ただし,a,b ≠ 0 とする。) |
[注]直前にPC版から入られた場合は,自動転送でスマホ版に来ていますので,ブラウザの[戻るキー]では戻れません(堂々巡りになる).下記のリンクを使ってメニューに戻ってください.
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■[個別の頁からの質問に対する回答][不定積分の部分積分法について/16.11.13]
(4)の別解の最終形が間違っていると思います。
(logx)^3/xではなく、(logx)^3/3ではないですか。
=>[作者]:連絡ありがとう.入力ミスですので訂正しました. |