■指数関数、対数関数の不定積分
【基本公式】
wnexdx=ex+C …(1)
wnekxdx= .ekxknn+C …(2)
wnaxdx= .axlogannnnn +C …(3)
wnlogxdx=xlogx−x+C …(4)
≪証明≫
(1) ←
.ddxnnex=exだからwnexdx=ex+Cが成り立つ。
(2) ←
.ddxnnekx=kekx , .ddxnn ( .ekxknn)=ekxだからwnekxdx= .ekxknn +Cが成り立つ。
(3) ←
 まず、次の関係を示す。(指数関数の底はeが最も使いやすく、底がeでないものはすべてeに直す。このとき、調整のために上の公式(2)のkのところにlogaが入るということ。)
a=eloga …(3.1)
ax=e xloga …(3.2)
対数の定義:ar=Mr=logaM(数学II)により
a=ex とおくと x=logea=logaだからa=eloga →(3.1)
(別の証明)
aの対数はloga
elogaの対数はlog(eloga)=logloge=loga
これらは等しいから、もとのものも等しい。
ゆえに、a=eloga →(3.1)
したがって、ax=(eloga)x=e xloga →(3.2)
wnaxdx
=wnexlogadx …底をeに変換する
= .exlogalogannnn +C …←(2)
= .axlogannnn +C …底をaに戻せばこの形になる。
(4) ←
 次のように微分すれば示されるが、教科書では(別の証明)のように部分積分法が使える例として示される。
.ddxnn(xlogx−x)=1·logx+x .1xn −1=logx
により、wnlogxdx=xlogx−x+C

(別の証明)
wnlogxdx=wnlogx · 1dx
部分積分法の公式wnf·g’dx=f·gwnf '·gdx
において次のように対応させる。
f’= .1xn f=logx
logxは微分する側に選ぶ)
g’=1 g=x(多項式を積分する側に選ぶのは、
相手が対数のときの例外)

wnlogx · 1dx =logx·xwn.1xn x+C=xlogx−x+C


wn(多項式)logxdx,wn(指数関数)logxdx

wn(三角関数)logxdx、などにおいては「logxを微分する側に選ぶ(g=logxとおく)」とスムーズに計算できる。
 逆に選べば(f’=logxとおくと)fすなわちlogxの不定積分が必要となり、xlogx−xを宙で暗記していることが前提となって少し苦しくなる。
指数関数の不定積分[例]

(1) wne3xdx
(答案)
公式(2)においてk=3と考える。
wne3xdx= .e3x3nn+C …(答)

(2) wn3xdx
(答案)
公式(3)においてa=3と考える。
wn3xdx= .3xlog3nnnn +C …(答)

(3) wn.exex+1nnn dx
(答案)
(ex+1)’=exだから次の公式が使える。
【特急券あり】
wn.f’(x)f(x)nnn dx=log|f(x)|+C

wn.exex+1nnn dx=wn.(ex+1)’ex+1nnnnn dx=log(ex+1) …(答)
ex+1は常に正だから絶対値記号は不要)

(4) wnxexdx
(答案)
部分積分法の公式において次のように対応させる。
f’=ex f=ex
g’=1 ←g=x(多項式を微分する側に
選ぶと次数が下がる)

wnxexdx=xexwnexdx=xex−ex+C=(x−1)ex+C …(答)


(5) wnxex2dx
(答案)
備考:abcと書くときは、(ab)cではなくa(bc)のことを表す・・・かっこがなければ指数の部分を先に計算するのが原則。
x2=tとおいて置換積分を行う。
x2=tとおくと、.dtdxnn =2xdx= .dt2xnn
wnxex2dx=wnxet .dt2xnn= .12n wnetdt= .et2n+C= .12n ex2+C …(答)
≪問題≫ 次の不定積分を求めよ。
(正しいものを選べ。※暗算では無理です。計算用紙が必要です。)

(1) wne−2xdx

2e−2x+C −2e−2x+C

.e−2x2nnn +C .e−2x2nnn +C

(2) wn2xdx

.exlog2nnn +C .2xlog2nnn +C


2x+C 2exlog2+C

(3) wn.ex−e−xex+e−xnnnnn dx

log(ex+e−x) +C log|ex−e−x| +C


log(ex+1)+C log|ex−1|+C

(4) wn2xe−3xdx

.23n xe−3x+C .29n xe−3x+C


.29n (3x+1)e−3x+C .29n (x−3)e−3x+C



対数関数の不定積分[例]

(1) wnlog(1−3x)dx
(答案)
1−3x=tとおいて置換積分を行う。
1−3x=tとおくと、.dtdxnn = −3dx= .dt−3nn
wnlog(1−3x)dx=wnlog t .dt−3nn
= − .13n wnlog t dt= − .13n (t log t−t)+C
= − .13n {(1−3x)log(1−3x)−(1−3x)}+C …(答)

(2) wn.1xlogxnnnnn dx
(答案)
log x=tとおいて置換積分を行う。
log x=tとおくと、.dtdxnn = .1xndx= xdt
wn.1xlogxnnnnn dx=wn .1x·tnn xdt
= log|t|+C=log|logx|+c
(別解) .ddxnn(log x)= .1xnだから
wn.1xlogxnnnnn dx=wn .(logx)’logxnnnnn dx=log|log x|+C

(3) wn.x√nilogx dx
部分積分法の公式wnf’·gdx=f·gwnf·g’dx
において次のように対応させる。
f’= .x√ni=x.12n f= .23n x.32n= .23n x.x√ni
g’= .1xn g=logx

wn.x√nilogx dx= .23n x.x√ni logx−wn.23n .x√nidx
= .23n x.x√ni logx− .23n .23n x.x√ni+C
= .23n x.x√ni logx− .49n x.x√ni+C
≪問題≫ 次の不定積分を求めよ。
(正しいものを選べ。※暗算では無理です。計算用紙が必要です。)

(1) wnlog(2x+3)dx

.xlogx−x2nnnnnn+C .log(2x+3)2nnnnnnnn+C

(2x+3)log(2x+3)−(2x+3)+C

.12n{ (2x+3)log(2x+3)−(2x+3) }+C

(2) wnxlogxdx

logx+C x2logx−x2+C

.x22n logx+C .x22n logx− .x24n+C

(3) wnxlog(x2+2)dx

xlog(x2+2)−(x2+2)+C

.x22n log(x2+2)−(x2+2)+C

(x2+2)log(x2+2)−(x2+2)+C

.12n (x2+2){log(x2+2)−1}+C

(4) wn.logxxnnn dx

logx+C .2(logx−1)xnnnnnnnn +C

.(logx)22nnnnn +C .x22n logx− .x24n +C




■[個別の頁からの質問に対する回答][指数関数、対数関数の不定積分について/17.7.21]
逆関数のも知りたいです
=>[作者]:連絡ありがとう.逆関数の定義,逆関数の微分法は各々目次を見てもらえばありますが,この頁の文脈の中で「逆関数のも」と言えば逆関数の不定積分法になりますが,あまり聞きません・・・例えば,逆三角関数は高校数学には登場しないので,不定積分が逆三角関数になるような問題は高校数学には登場しません.これに対して定積分は定数なので逆三角関数の定積分なら一応高校数学で扱うことができます.
■[個別の頁からの質問に対する回答][指数関数、対数関数の不定積分について/16.11.6]
数式に使われている色が全体的に淡いのでもう少し濃くしてもらいたい
=>[作者]:連絡ありがとう.少し濃くしました.
■[個別の頁からの質問に対する回答][指数関数、対数関数の不定積分について/16.10.29]
被積分関数の左端とインテグラルが被って表示されることがある
=>[作者]:連絡ありがとう.Mac上のSafariでということのようですが,Windows上のSafariでは問題ないので,「ことがあります」のようにあいまいな言い方でなく,「何番目の式のどの関数」というように具体的に述べてもらわないと対応できません.

■このサイト内のGoogle検索■

△このページの先頭に戻る△
【 アンケート送信 】
… このアンケートは教材改善の参考にさせていただきます

この頁について,良い所,悪い所,間違いの指摘,その他の感想があれば送信してください.
○文章の形をしている感想は全部読ませてもらっています.
○感想の内で,どの問題がどうであったかを正確な文章で伝えていただいた改善要望に対しては,可能な限り対応するようにしています.(※なお,攻撃的な文章になっている場合は,それを公開すると筆者だけでなく読者も読むことになりますので,採用しません.)


質問に対する回答の中学版はこの頁,高校版はこの頁にあります
.
.