現在地と前後の項目 xαの不定積分/分数関数の不定積分1/分数関数の不定積分2/分数関数の不定積分3/分数関数の不定積分4/不定積分の置換積分1/不定積分の置換積分2/不定積分の部分積分1/不定積分の部分積分2/多項式,分数関数,無理関数の不定積分/指数,対数関数の不定積分1/指数,対数関数の不定積分2/三角関数の不定積分1/三角関数の不定積分2/不定積分(まとめ1)/不定積分(まとめ2)/不定積分の漸化式/
≪要点≫
(I)三角関数の積は和に直してから積分する 2乗は半角公式で逃げる (II)f(sinx)cosx , f(cosx)sinx→置換積分 sin3x=(1−cos2x)sinxはその応用 f’/fは即答可能の特急券→log|f| (III)(多項式、指数関数)×三角関数→部分積分 ≪解説≫ (I)三角関数の積は和に直してから積分する
例1
右の積→和の公式(3)においてα=2x, β=3xとおくと∫sin2x cos3x dx sin2x cos3x= ![]() = ![]() ∫sin2x cos3x dx= ![]() = ![]() ![]() = − ![]() ![]()
例2
右の積→和の公式(5)においてα=4x, β=3xとおくと∫cos4x cos3x dx cos4x cos3x= ![]() = ![]() ∫cos4x cos3x dx= ![]() = ![]() ![]() = ![]() ![]() ○2乗は半角公式で逃げる
∫sin2x dxのように被積分関数が三角関数の2乗になって
いるときは、上記の積→和の公式においてα=βとおけば解決できるが、右の(9)’(10)’のように2倍角公式を逆に読んだもの(半角公式)で考える人が多い。
例3
∫sin2x dx=∫∫sin2x dx ![]() = ![]() ![]() |
※ 三角関数の積分は1つの公式を覚えただけでは解決できず、総合的な力が試される。すなわち、三角関数の積分を行うには、積を和に直す公式、部分分数分解、置換積分、部分積分など幅広い力を要する。 [将来との関連] 三角関数の積分(主に定積分)は高校卒業後に習うフーリエ級数において重要な働きをなしており、このフーリエ級数は様々な分野に使われている。例えば画像圧縮技術にも応用されている。 積→和の公式
加法定理
sin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβ …(1) sin(α−β)=sinαcosβ−cosαsinβ …(2) (1)+(2) sin(α+β)+sin(α−β)=2sinαcosβ これにより、次の積→和の公式が得られる
sinαcosβ=
![]() 積→和の公式
加法定理
cos(α+β)=cosαcosβ−sinαsinβ …(4) cos(α−β)=cosαcosβ+sinαsinβ …(5) (4)+(5) cos(α+β)+cos(α−β)=2cosαcosβ これにより、次の積→和の公式が得られる
cosαcosβ=
![]() 積→和の公式には、以上2つの他(4)-(5)によって得られる次の公式がある。
sinαsinβ= −
![]()
cosαsinβ=
![]() 半角公式
加法定理 cos(α+β)=cosαcosβ−sinαsinβ …(4) において、α=βとおくと余弦(cosθ)に関する2倍角公式が得られる。 cos2α=cosαcosα−sinαsinα =cos2α−sin2α =1−2sin2α …(9) =2cos2α−1 …(10) (9)より
sin2α=
(10)より![]()
cos2α=
(9)’(10)’より
![]()
tan2α=
![]() |
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≪問題1≫ 次の不定積分を求めよ。 (正しいものを選べ。暗算ではできないので計算用紙が必要。) ![]() ![]() ![]() ![]() − ![]() ![]() ![]() ![]() |
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![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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(II)f(sinx)cosx , f(cosx)sinx→置換積分
例4
∫sin2x cosx dx 置換積分を行う sinx=tとおくと ![]() ![]() ∫sin2x cosx dx=∫ t2 cosx ![]() ![]() = ![]()
例6
∫ ![]() ![]() ![]() ![]() 置換積分を行う cosx=tとおくと ![]() ![]() ∫ ![]() ![]() ![]() =∫ ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() = ![]() ![]() ![]() = ![]() ![]() ![]() ![]() ※1−cosx≧0 , 1+cosx≧0で、等号のとき | | があってもなくても定義されない事情は同じ |
○ sin3x=(1−cos2x)sinxはその応用
例5
∫sin3x dx sin3x=sin2x sinx=(1−cos2x)sinx 置換積分を行う cosx=tとおくと ![]() ![]() ∫sin3x dx=∫ (1−cos2x)sinx dx =∫ (1−t2)sinx ![]() = ![]() ![]()
例7
(1)∫ ![]() ○ ∫ ![]() f(x)=tとおくと ![]() ![]() ∫ ![]() ![]() ![]() =log|f(x)|+C そこで
「分子が分母の微分」→(即答可能の特急券)
→log|分母|が答 (1) ∫ ![]() ![]() この| |は( )に換えてもよい
(2) ∫tanx dx= − ∫![]() |
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≪問題2≫ 次の不定積分を求めよ。 (正しいものを選べ。暗算ではできないので計算用紙が必要。) ![]() ![]() ![]() ![]() |
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sinx+ ![]() ![]() cosx+ ![]() ![]() |
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![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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(4)
log|sinx+cosx|+C
log|sinx−cosx|+C
∫
![]() | ![]() ![]() |
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(III)(多項式、指数関数)×三角関数→部分積分
例8
∫ xsinx dx ∫ xsinx dx=−xcosx−∫ 1·(−cosx)dx =−xcosx+∫cosx dx =−xcosx+sinx+C |
部分積分
∫ f’(x)g(x) dx=f(x)g(x)−∫ f(x)g’(x)dx
多(単)項式は微分する側(次数を下げる側)に選ぶ
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例9
∫ exsinx dx ∫ exsinx dx=Iとおく I=exsinx−∫ excosx dx =exsinx−(excosx−∫ exsinx dx)=exsinx−excosx−I 2I=ex(sinx−cosx) I= ![]() (積分定数は最後に1つ付ければよい) |
未知関数Iの”方程式”を作って解く ”同じ向き”に2回部分積分を行う I=···−Iになれば解ける。→2I=··· I=···+Iになれば解けない。→消えてしまう 1回目の部分積分
2回目の部分積分
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≪問題3≫ 次の不定積分を求めよ。 (正しいものを選べ。暗算ではできないので計算用紙が必要。) x cosx+sinx+C x cosx−sinx+C x sinx+cosx+C x sinx−cosx+C |
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e−2x(sinx+cosx)+C
![]() ![]() ![]() |
■[個別の頁からの質問に対する回答][三角関数の不定積分について/18.8.28]
∮xsinx/(cosx)^3はどうやって解くのでしょうか。
また、置換でも解けるのでしょうか。よろしくお願いします。
■[個別の頁からの質問に対する回答][三角関数の不定積分について/17.11.29]
=>[作者]:連絡ありがとう.質問を正確に書いてください.∮は複素積分で留数定理やストークスの定理のときに出てくる周回積分の記号です.また積分変数は? 文句を言っても始まらないので,適当に解釈して勝手に答えてしまいます.はじめに,このページを見てください. そこで次の公式をメモします. 次に 部分積分の公式に当てはめる 単なるミスプリでしょうが、例8の解答のxが+に見えます。
■[個別の頁からの質問に対する回答][三角関数の不定積分について/17.6.15]
=>[作者]:連絡ありがとう.+は1つですので訂正しました 例5は(cos3x/12)-(3sinx/4)+Cでもあってますか?
=>[作者]:連絡ありがとう.三倍角公式を逆に解いて,被積分関数を三角関数の1次式に直すのは「あり」です.ただ,結果は少し違うようです. |
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