現在地と前後の項目

*** 定積分 ***
/定積分の基本/定積分の置換積分法1/定積分の置換積分法2/定積分の部分積分法/limΣ→定積分/limΣ(2)入試問題/Excelで定積分/多項式.分数.無理関数の定積分/無理関数の定積分/三角関数の定積分/絶対値.三角関数の定積分/定積分の漸化式/間接的に求める/定積分で定義される関数/
*** 面積 ***
/閉曲線で囲まれた面積1/閉曲線で囲まれた面積2(媒介変数)/閉曲線で囲まれた面積3(媒介変数)/
*** 微分方程式 ***
/変数分離形微分方程式/定数係数の2階線形微分方程式(同次形)/定数係数の2階線形微分方程式(非同次形)/
*** 体積,表面積 ***
/体積,表面積/
*** 曲線の長さ ***
/曲線の長さ/
== 曲線の長さ ==
【公式】
○媒介変数表示で表される曲線x=f(t) , y=g(t)の区間α≦t≦βにおける曲線の長さは
L=αβ(dxdt)2+(dydt)2dt
x ,y直交座標で表される曲線y=f(x)の区間a≦x≦bにおける曲線の長さは
L=ab1+(dydx)2dx
○極座標で表される曲線r=f(θ)の区間α≦θ≦βにおける曲線の長さは
L=αβr2+(drdθ)2dθ
※極座標で表される曲線の長さの公式は,高校向けの教科書や参考書には掲載されていないが,媒介変数表示で表される曲線と解釈すれば解ける.([→例]
(解説)
 ピタグラスの定理(三平方の定理)により,横の長さがΔx,縦の長さがΔyである直角三角形の斜辺の長さΔL
ΔL=(Δx)2+(Δy)2
したがって
ΔLΔt=(ΔxΔt)2+(ΔyΔt)2
dLdt=(dxdt)2+(dydt)2
L=αβ(dxdt)2+(dydt)2dt


x ,y直交座標ではx=tとおけば上記の公式が得られる.
dxdtdxdx=1,dydtdydx,tddxにより
L=ab1+(dydx)2dx

図で言えばdL2=(dx)2+(ydx)2だから
dL=1+(y)2dx

L=ab1+(y)2dx

○極座標でr=f(θ)のとき,媒介変数をθに選べば
x=rcosθ=f(θ)cosθ
y=rsinθ=f(θ)sinθ
となるから
dxdθ=f(θ)cosθ+f(θ)(sinθ)
dydθ=f(θ)sinθ+f(θ)cosθ

(dxdθ)2+(dydθ)2
=f(θ)2cos2θ2f(θ)f(θ)sinθcosθ+f(θ)2sin2θ
+f(θ)2sin2θ+2f(θ)f(θ)sinθcosθ+f(θ)2cos2θ
=f(θ)2+f(θ)2=r2+f(θ)2
L=αβr2+(drdθ)2dθ
極座標でrが一定ならば,弧の長さはdL=rdθで求められるが,一般にはrも変化する.
そこで,dL=(rdθ)2+(dr)2
=r2+(drdθ)2dθの形になる

■以下の問題を全部を解く必要はない.できそうな,または,気になる問題をそれぞれの○から2題ほど解けばよい.
詳細の[ ? ]の欄をクリックすれば,解説が出ます
 次の曲線の長さを求めてください.
○媒介変数表示
 問題詳細
(1.1) サイクロイド
x=a(tsint)
y=a(1cost)
a>0 , 0≦t≦2π
8a [?]
(1.2) アステロイド
x=acos3θ
y=asin3θ
a>0 , 0≦t≦2π
6a [?]
(1.3) x=t2
y=t33
0≦t≦1
13(558) [?]
(1.4) x=3t2
y=tt3
0≦t≦1
2 [?]
x ,y直交座標
 問題詳細
(2.1) 懸垂曲線(カテナリ-)
y=12(ex+ex)
0≦x≦1
12(e1e) [?]
(2.2) y=23xx
0≦x≦1
23(221) [?]
(2.3)
x2+y2=a2
a>0
2πa [?]
(2.4) 放物線
y=x2(0x1)
の長さをL1とし,放物線
y=12x2(0x2)
の長さをL2とするとき,L1L2の関係は?
L2=2L1 [?]

○極座標
 問題詳細
(3.1) 心臓形(カージオイド)
r=a(1+cosθ)
a>0 , 0≦θ≦2π
8a [?]
(3.2) 半円
r=2acosθ
a>0,0θπ2
πa [?]
 問題詳細
(3.3) 対数螺旋らせん(等角螺旋,
ベルヌーイの螺旋)
r=eθ
0θ2π
2(e2π1) [?]
(3.4) 関数F(x)F(x)=0x1+t2dt
で定義するとき,アルキメデスの螺旋
r=aθ(a>0,0θ4π)
の長さをFで表すと?
aF(4π) [?]

(1-1) サイクロイドの長さ
x=a(tsint)
y=a(1cost)
a>0 , 0≦t≦2π
(答案)
dxdt=a(1cost)
dydt=asint
だから
(dxdt)2+(dydt)2=a2(1cost)2+a2sin2t
=a2(12cost+cos2t+sin2t)
=a2(22cost)
=2a2(1cost)
=2a22sin2t2
0t2πのとき0t2πだから
0t2πsint20
(dxdt)2+(dydt)2=2asint2
したがって
L=02π2asint2dt
=2a[2cost2]02π
=2a(2cosπ+2cos0)=8a
(1-2) アステロイド(星芒形せいぼうけい)の全長
x=acos3θ
y=asin3θ
a>0 , 0≦θ≦2π
x軸についても,y軸についても対称となるから,
0θπ2
の区間の長さを4倍すればよい.
(答案)
dxdθ=3acos2θ(sinθ)
dydθ=3asin2θcosθ
だから
(dxdt)2+(dydt)2=9a2cos4tsin2t+9a2sin4tcos2t
=9a2sin2tcos2t(cos2t+sin2t)
=9a2sin2tcos2t
=9a2(sin2t2)2=94a2sin22θ
0θπ2のとき02θπsin2θ0
だから
(dxdt)2+(dydt)2=32asin2θ
L=40π232asin2θdθ
=6a[cos2θ2]0π2
=6a(12+12)=6a

(1.3) 
x=t2
y=t33
0≦t≦1
(答案)
dxdt=2t
dydt=t2
だから
(dxdt)2+(dydt)2=4t2+t4=t2(t4+4)
s=t2+4とおいて置換積分を行うと
t01
s45
dsdt=2t
L=01(tt2+4)dt
=45ts12ds2t=1245s12ds
=1223[s32]45
=13(5544)
=13(558)…(答)

(1.4) 
x=3t2
y=tt3
0≦t≦1
(首都東京大学2005年)
(答案)
dxdt=23t
dydt=13t2
だから
(dxdt)2+(dydt)2=12t2+16t2+9t4
=9t4+6t2+1=(3t2+1)2
L=01(3t2+1)dt=[t3+t]01=2
…(答)


x ,y直交座標
(2.1) 懸垂曲線(カテナリ-)
y=12(ex+ex)
0≦x≦1
(参考)
y=a2(exa+exa)
の曲線は懸垂曲線(カテナリー)と呼ばれ,均質なロープを吊るすとこの曲線ができる.ここではa=1の簡単な場合を扱う.
(答案)
y=12(exex)
だから
1+(y)2=1+14(exex)2
=4+(ex)22+(ex)24
=(ex)2+2+(ex)24
=(ex+ex2)2
1+(y)2=ex+ex2
したがって
L=01ex+ex2dx
=[exex2]01
=e1e12e0e02
=12(e1e)
(2.2) 
y=23xx
0≦x≦1
(答案)
y=23x32
だから
y=2332x12=x
したがって
L=011+(y)2dx=011+xdx
=01(1+x)12dx=[23(1+x)32]01
=23(2321)=23(221)

(2.3) 円
x2+y2=a2
a>0
(答案)
 円はx軸,y軸に関して対称だから,第1象限にある長さL1を求めて,それを4倍すればよい.
 第1象限では
y=a2x2=(a2x2)12
y=12(a2x2)12(2x)=xa2x2
1+(y)2=1+x2a2x2=a2a2x2
だから
x=asinθとおいて置換積分を行うと
x0a
θ0π2
dxdθ=acosθ
L1=0aaa2x2dx
=0π2aa2a2sin2θacosθdθ
=0π2aacosθacosθdθ
=a0π2dθ=a[θ]0π2=πa2

L=4L1=2πa…(答)
(2.4) 
放物線
y=x2(0x1)
の長さをL1とし,放物線
y=12x2(0x2)
の長さをL2とするとき,L1L2の関係は?
(答案)
y1=x2(0x1)
とおくと
y1=2x
L1=011+(y1)2dx=011+4x2dx…(1)

y2=12x2(0x2)
とおくと
y2=x
L2=021+(y2)2dx=021+x2dx…(2)

x=2tとおく置換積分を行うと
x0 → 2
t0 → 1
dxdt=2
(2)を変形すると
L2=011+4t22dt
=2011+4t2dt
=2L1…(答)
(参考1)
x2+Adx(A0)の積分計算を行うと
12(xx2+A+Alog|x+x2+A|)+C
になりますが,この「公式」を覚えるのは大変ですし,高校生が覚える必要もないでしょう.また,三角関数を経由して置換積分で求めるのも長い道のりになります.
 ここでは,定積分を数値に直さずに比較だけを行う問題にしました.
(参考2)
y=12x2(0x2)
上の点をQ(X,Y)とすると
X=2x,Y=2yとなる点P(x,y)
(2y)=12(2x)2(0x1)
すなわち
y=x2(0x1)
上にあります.
 したがって,これら2つの曲線は原点を中心として相似比1:2の相似図形になります.相似図形については,面積比(例えば右図の水色の図形[下は重なって見えていない]と桃色の図形)は1:4ですが,辺の長さの比は1:2になります.この辺の長さの比は,この問題のように曲線になっていても相似比と一致します.

○極座標
(3.1)心臓形(カージオイド)
r=a(1+cosθ)
a>0 , 0≦θ≦2π
(答案)
drdθ=a(sinθ)
r2+(drdθ)2=a2(1+cosθ)2+a2sin2θ
=a2(1+2cosθ+cos2θ+sin2θ)
=a2(2+2cosθ)
=2a2(1+cosθ)
ところで,三角関数の2倍角公式により
cos2α=cos2αsin2α=2cos2α1
1+cos2α=2cos2α
だから
1+cosθ=2cos2θ2
r2+(drdθ)2=2a22cos2θ2=4a2cos2θ2
したがって
L=2a02πcos2θ2dθ
ここで
x≧0のときx2=x
x<0のときx2=x
に注意すると

(1) 0≦θ≦πのとき
0θ2π2cosθ20だから
L1=2a0πcos2θ2dθ=2a0πcosθ2dθ
=4a[sinθ2]0π=4a(10)=4a

(2) π≦θ≦2πのとき
グラフからx軸に関して(上下に)対称であることを考えると,下半分も同じ長さになることが使えるが,単純に計算で示すには次のようにやればよい.
π2θ2πcosθ20だから
L2=2aπ2πcos2θ2dθ=2aπ2π(cosθ2)dθ
=4a[sinθ2]π2π=4a(0+1)=4a

 (1)(2)で求めた上半分の長さL1と下半分の長さL2を足すと
L=L1+L2=8a…(答)

(参考)
 極方程式r=1+cosθ (0≦θ≦π)で表される曲線の長さを求めよ.
(京都大学2009年)
→ 上記の答案でa=1, 0≦θ≦πとすると,L1=4…(答)

[別解]・・・「高校では極座標の曲線の長さの公式は習わない」ことを前提にすると,これを回避する方法があるはず
x=rcosθ=(1+cosθ)cosθ
y=rsinθ=(1+cosθ)sinθ
として,媒介変数表示の場合の曲線の長さを求めるとよい.
dxdθ=sinθcosθ+(1+cosθ)(sinθ)
=sinθ2sinθcosθ
=sinθsin2θ
dydθ=sinθsinθ+(1+cosθ)cosθ
=cosθ+cos2θsin2θ
=cosθ+cos2θ
(dxdθ)2+(dydθ)2
=sinθ2+2sinθsin2θ+sin22θ
+cosθ2+2cosθcos2θ+cos22θ
=2+2(sinθsin2θ+cosθcos2θ)
=2+2cosθ
(∵)cosαcosβ+sinαsinβ=cos(αβ)
だから
cos2θcosθ+sin2θsinθ=cos(2θθ)=cosθ
=2(1+cosθ)=22cos2θ2
以下の記述は上の答案と同様
0≦θ≦πのとき
0θ2π2cosθ20だから
L=20πcos2θ2dθ=20πcosθ2dθ
=4[sinθ2]0π=4(10)=4

(3.2) 半円
r=2acosθ
a>0,0θπ2
 円周角の定理を思い出すと,直径の上に立つ円周角は90°になるから,直径2acosθを掛けた2acosθ=OPとなればPは円周上にある.
 したがって,この問題の結果は小学校以来学んでいる半円の長さπaになるはずであるが,これを極座標での曲線の長さの計算で確かめることになる.
(答案)
drdθ=2asinθ
r2+(drdθ)2=4a2cosθ2+4a2sin2θ
r2+(drdθ)2=4a2(cosθ2+sin2θ)=4a2
だから
L=0π24a2dθ=0π22adθ
=[2aθ]0π2=πa
(3.3) 対数螺旋(等角螺旋)
r=eθ
0θ2π
(参考)
r=aebθのグラフは対数螺旋(または等角螺旋)と呼ばれ,巻貝,ヒマワリの種,台風の渦巻き,渦状銀河など自然界の多くの渦巻き状のものにこの形が見られる.
 ただし,蚊取り線香やアナログレコードのように線が等間隔に並んでいるものはアルキメデスの螺旋と呼ばれる別の渦巻きになる
 この問題ではa=1 , b=1の場合を扱っている
(答案)
drdθ=eθ
r2+(drdθ)2=e2θ+e2θ=2e2θ
だから
L=02π2e2θdθ=202πeθdθ
=2[eθ]02π=2(e2π1)…(答)


(3.4) 
関数F(x)F(x)=0x1+t2dtで定義するとき,アルキメデスの螺旋
r=aθ(a>0,0θ4π)
の長さをFで表すと?
(答案)
drdθ=a
L=04πr2+(drdθ)2dθ
=04πa2θ2+a2dθ
=a04πθ2+1dθ
=aF(4π)…(答)
(参考1)
x2+Adx(A0)の積分計算を行うと
12(xx2+A+Alog|x+x2|)+C
になりますが,この「公式」を覚えるのは大変ですし,高校生が覚える必要もないでしょう.また,三角関数を経由して置換積分で求める計算をすると曲線の長さを求める問題よりも積分の方にほとんどの時間を取られてしまいます.
 ここでは,定積分で定義される関数を利用して問題を簡潔にしました.
(参考2)
 アルキメデスの螺旋r=aθは1回転すると半径がr=2aπずつ増えるので,渦巻きが等間隔に並びます.
r1=aθ
r2=a(θ+2π)=aθ+2πa
 このような図形は,蚊取り線香やアナログレコードに見られます.
 右図はa=10θ4πの場合のグラフ

問題次の曲線の長さを求めてください.
 正しいと思う選択肢をクリックすると,採点結果と解説が表示されます.(選択肢をクリックしなければ,解説も出ません.)

(1) y=4x20x2の部分の長さ.
2 4 π

(2) 極座標で表される曲線r=2sinθ(0θπ)の長さ.
2 4 π

(3) 媒介変数で表される曲線
x=cosθ+θsinθ
y=sinθθcosθ
(0θπ)
の長さ
π π2 π4 π22 π24
(4) 極座標で表される曲線
r=1+sinθ
(0θπ)
の長さ
2 4 2 22 42

(5) 媒介変数で表される曲線
x=t22
y=t33
(0t1)
の長さ
232 2213 22+13 33 ππ
(6) 極座標で表される曲線
rcosθ=2
(0θπ4)
の長さ
2 22 π π2 π4
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