現在地と前後の項目

*** 定積分 ***
/定積分の基本/定積分の置換積分法1/定積分の置換積分法2/定積分の部分積分法/limΣ→定積分/limΣ(2)入試問題/Excelで定積分/多項式.分数.無理関数の定積分/無理関数の定積分/三角関数の定積分/絶対値.三角関数の定積分/定積分の漸化式/間接的に求める/定積分で定義される関数/
*** 面積 ***
/閉曲線で囲まれた面積1/閉曲線で囲まれた面積2(媒介変数)/閉曲線で囲まれた面積3(媒介変数)/
*** 微分方程式 ***
/変数分離形微分方程式/定数係数の2階線形微分方程式(同次形)/定数係数の2階線形微分方程式(非同次形)/
*** 体積,表面積 ***
/体積,表面積/
*** 曲線の長さ ***
/曲線の長さ/
=== limΣ=∫(区分求積法の入試問題)===

■ 数列の和の極限を定積分に直すには,次のような図を考えます.
 (公式)
上の図において,青の矢印で示したように,各々の短冊の右肩がグラフ上にあるようにしてできた短冊の面積を全部足すと,次の公式になります.
limnk=1nf(xk)Δx=abf(x)dx…(A)
上の図において,赤の矢印で示したように,各々の短冊の左肩がグラフ上にあるようにしてできた短冊の面積を全部足すと,次の公式になります.
limnk=0n1f(xk)Δx=abf(x)dx…(B)
区分求積法によって面積を求めるときに,上の図のような単調増加関数の例で考えると,(A)は実際よりも少しずつ大きな短冊を集めたものになり,(B)は実際よりも少しずつ小さな短冊を集めたものになりますが,
limn,limΔx0
のときに(A)と(B)が同じ値に収束したら,その値を図形の面積と定義します.(単調減少関数であっても,増加区間と減少区間の両方があっても(A)(B)が一致したらそれを面積の定義とする.)
したがって,(A)と(B)は等しいと言えます.(これらが等しくなければ,面積は定義されないから)
さて,実際に問題を解くときに,下記の[4]で「おや?」「はてな?」と思うかもしれないポイントに触れておきます.
上の図において,n個の短冊は(植木算の仕組みで)n+1本の線で区切られています.
x0,x1,x2,x3,xn1,xn
のうちの
x1,x2,x3,xn1,xn
n個を使う・・・(初項はx1y座標を使う:各短冊の右肩がf(x)のグラフ上にある)・・・のが(A)で
x0,x1,x2,x3,xn1
n個を使う・・・(初項はx0y座標を使う:各短冊の左肩がf(x)のグラフ上にある)・・・のが(B)です.

(A)の式では,Σ記号には積分区間の端になるべき値x0が入っていませんが,これを求めるためにはa=x0を計算しなければなりません.
逆に,(B)の式でも,Σ記号には積分区間の端になるべき値xnが入っていませんが,これを求めるためにはb=xnを計算しなければなりません.

■ この公式を使うには,「各部品」を正確に対応させることが大切です.(初めは,大変難しいものです.)

<要点>
[1]
まず,Δx(通常は1n)を分離すること
→ これがdxになります.
(Σ記号の初項から末項までの項数n個の等分となっている)

[2]
xkを決める→f(xk)を決める→f(x)を決める.

[3]
limとします.

[4]
x0=a,xn=bとします.(ba=1でないなら,[1]の段階でΔxを調整します.)


※なお,数列の和k=1nf(xk)が求められるとは限らないことに注意.

数列の和k=1nf(xk)は求められない場合でも,数列の和の極限limk=1nf(xk)は「定積分」だから計算できるのです.
【例題1】

 極限limn1nk=1ncoskπ3nを求めよ.
(茨城大2014年度)
(解説)
[1] まず,1nを分離する.(この問題では初めからそうなっている)
limnk=1n(coskπ3n)1n
[2] xkを決める→f(xk)を決める→f(x)を決める.
xk=kn
f(xk)=cosπ3xk
f(x)=cosπ3x
とおく.
[3] limとする.
cosπ3xdx
[4]x0=a,xn=bとします.(ba=1でないなら,[1]の段階でΔxを調整します.)
x0=0n=0,xn=nn=1
 (区間の幅が 1 だから,[1]において1nとしたこととつじつまが合う)
以上から
01cosπ3xdx
後は,この定積分を計算すればよい.
01cosπ3xdx=[3πsinπ3x]01
=3π(sinπ30)=3π32=332π…(答)
右上に続く→
[4]に関連して:xkを主役として,次のように見直してみると全体の有機的なつながりについて何かつかめる事があると思う.
limnk=1n(coskπ3n)1n
からスタートして,もし
f(x)=cosx
としたいのなら
f(xk)=cosxk
xk=π3nk
とすることになり
x0=π3n×0=0,xn=π3n×n=π3
から,区間の幅が
π3
になる.そのn等分としてΔx=π31nを使うことになるから
limnk=1n(coskπ3n)1n=limnk=1n(3πcoskπ3n)π3n
=3π0π3cosxdx=3π[sinx]0π3
=3π(sinπ3sin0)=332π

【問題1】
limn1nk=1n1+8kn= .345nnnnnnnn
(日本大2005年度)
参考答案を見る

【例題2】
次の極限値を求めよ.
limni=1n1n+i
(千葉大2005年度)
(解説)
[1] まず,Δx(通常は1n)を分離する.(この問題では「ないから作る」:nで割ってnを掛ける
limni=1n1n+i=limni=1n(nn+i)1n
=limni=1n(11+in)1n
[2] xiを決める→f(xi)を決める→f(x)を決める.
xi=in
f(xi)=11+xi
f(x)=11+x
とおく.
[3] limとする.
11+xdx
[4]x0=a,xn=bとします.(ba=1でないなら,[1]の段階でΔxを調整します.)
x0=0n=0,xn=nn=1
 (区間の幅が 1 だから,[1]において1nとしたこととつじつまが合う)
以上から
0111+xdx
後は,この定積分を計算すればよい.
0111+xdx=[log(1+x)]01
=log2log1=log2…(答)
【問題2】
(1) 次の極限値を求めよ.
limni=1nn(n+i)(2n+i)
(千葉大2005年度)
参考答案を見る
(2) 次の極限値を求めよ.
limn(1n2+12+2n2+22+3n2+32++nn2+n2)
(日本女子大2005年度)
参考答案を見る
右上に続く→
(3) 次の極限値を求めよ.
limnπn2(cosπ2n+2cos2π2n++ncosnπ2n)
(奈良県立医大2014年度)
参考答案を見る

limnk=1nf(xk)Δx=abf(x)dx…(A)
limnk=0n1f(xk)Δx=abf(x)dx…(B)
以外の場合
[1] 皮1枚分多い場合
limnk=1n+1f(xk)Δx…(*1)
のような極限は,(A)よりも次図の桃色の短冊が1枚多いことになります.
limn,limΔx0の極限においては,「短冊1枚ぐらい0に収束してしまって影響がない」だろうと予測できますが,数学の答案ではそのような雑な議論をしてはいけません.
きっちりとした答案に仕上げるには,「ちょうど定積分になる式」を作り,多い部分を引きます.このように正しい変形をしながら,引いた部分が0に収束することを示せばよい.
limnk=1n+1f(xk)Δx
=limnk=1nf(xk)Δx+limnf(xn+1)Δx
=01f(x)dx+limΔx0f(xn+1)Δx
=01f(x)dx+0
の形で答案をまとめとよい.
【例題3】
次の極限値を求めよ.
limni=1n+1einn
(解説)
limni=1n+1einn =limni=1n+1ein1n
=limni=1nein1n+limnen+1n1n
=01exdx+limne1+1n1n
=[ex]01+0=e1
元の問題が
limni=0nein1n
の場合は
=limne0n1n+limni=1nein1n
=limn1n+01exdx=0+01exdx
とすればよい.また,次のように変形してもよい.
=limni=0n1ein1n+limnenn1n
=01exdx+limnen=01exdx+0

右上に続く→
[2] 皮1枚分少ない場合
limnk=1n1f(xk)Δx…(*2)
のような極限は,(A)よりも次図の水色の短冊が1枚少ないことになります.
この場合は,ちょうど定積分になるように1枚足してから引けばよいことになります.
【例題4】
次の極限値を求めよ.
limni=1n1ekn1n
(解説)
limni=1nein1nlimnenn1n
=01exdxlimnen
=[ex]010=e1
次のように変形してもよい.
limni=0n1ekn1nlimne0n1n
=01exdxlimn1n=01exdx0

[3] 短冊が2n枚,3n枚ある場合
【例題5】
次の極限値を求めよ.
limnk=12nekn1n
(解説)
ア) 極限移行する前の項数は2n項であるから,この項数に合わせて2n等分すると考えるとき

[1] まず,Δxすなわち12nを分離する.
limnk=12n2ekn12n
[2] xkを決める→f(xk)を決める→f(x)を決める.
limnk=12n2e2×k2n12n
と変形しておく
xk=k2n
f(xk)=2e2xk
f(x)=2e2x
とおく.
[3] limとする.
2e2xdx
[4]x0=a,xn=bとします.(ba=1でないなら,[1]の段階でΔxを調整します.)
x0=0n=0,xn=nn=1
 (区間の幅が 1 だから,[1]において1nとしたこととつじつまが合う)
以上から
012e2xdx=[e2x]01=e21
イ) 横幅Δx=1nの短冊を2n個足していくと考える場合
Δx=1n
xk=kn
f(xk)=exk
f(x)=ex
とおく.
x0=0n=0,x2n=2nn=2
以上から
02exdx=[ex]02=e21
右上に続く→
【問題5】
次の極限値を求めよ.
limnk=13n13n+k
参考答案を見る

[4] n+1 から 2n(3n)までの和になっている場合
【例題6】
次の極限値を求めよ.
limnk=n+12n1k
(愛媛大2014年度)
(解説)
ア) 1からnまでの和に直して考えるとき
limnk=n+12n1k
=limn(1n+1+1n+2+1n+3++1n+n)
=limnk=1n1n+k
と変形しておいてから,従来の方法で行う.
=limnk=1n(nn+k)1n
=limnk=1n(11+kn)1n
xk=kn
f(xk)=11+xk
f(x)=11+x
とおく.
x0=0n=0,xn=nn=1
以上から
0111+xdx=[log|1+x|]01=log2
イ) n+1から2nまでをn等分するとき
=limnk=n+12n(nk)1n
=limnk=n+12n(1kn)1n
xk=kn
f(xk)=1xk
f(x)=1x
とおく.
xn=nn=1,x2n=2nn=2
以上から
121xdx=[log|x|]12=log2
右上に続く→
【問題6】
次の極限値を求めよ.
limnk=n+13nk2n3
参考答案を見る
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